最近、楽天が提供する新しいAIツール「文章を生成(RMS/AIアシスタントβ版)」を試してみました。これにより、商品説明文の作成がさらに簡単で効果的になると期待されています。
この記事では、このAIアシスタントを使ってどのように商品説明文を作成できるかを実際に試してみた結果をシェアします。
これからのEC運営において、このような先進的なツールがどのように役立つのか一緒に探ってみましょう。
楽天の生成AI「文章をAIで生成」機能の使い方
まずは楽天の生成AI「文章をAIで生成」機能の使い方を説明します。
1:RMS「商品管理」から商品を選択
RMSログイン後、商品管理から商品説明文を生成したい商品を選択(編集画面を表示)します。
2:商品編集画面「ページデザイン」タブ内の「説明文」横の「文章をAIで作成」をクリック
つぎに「ページデザイン」タブ内の説明文の右側にある「文章をAIで作成」ボタンをクリックします。
入力画面がポップアップで表示されます。
3:生成する条件を選択/入力する
商品説明文を生成するにあたっての条件を入力します。
といっても入力できる条件箇所は「商品画像」と「アピールポイント」の2項目のみです。
※画像には一部処理を加えています
商品画像
ようするに、生成にあたって内容を参照したい商品画像(サムネイル)を選択できるという意味です。
なるべく商品と関連性の高い画像を選ぶと、精度も高まるらしいです。
アピールポイント
ここでは商品のアピールポイントを入力します。上記例のように商品の特徴や利用シーンなどを入力すると、生成後の文章にその内容が反映されるようです。
4:「説明文を生成」をクリックしてテキストを生成する
条件の入力を終えたあと「説明文を生成」をクリックすれば、商品説明文が出力されます。
何度か試してみましたが、生成されたテキストの文字数はおよそ400〜500文字程度という印象です。
商品説明文の上限は「全角5120文字」ですので、ぜんぜん余裕のある文章量で出力してくれました。
「文章をAIで生成」を使って商品説明文を作ってみよう
ではさっそく、この「文章をAIで生成」機能を使って、商品説明文を作成してみましょう。
今回は下記のようなアイテムを想定して、商品説明文を考えてもらいました。
▷ 半袖Tシャツ(レディース)
▷ ニット素材
▷ ドルマンスリーブ(袖付が広い)
▷ サイドスリット
▷ 大人の女性向け
いわゆる、一般的な夏物のレディースTシャツです。
このアイテムを楽天の生成AIは、どのように判断するのでしょうか?
ちなみに、今回はそれぞれ入力条件を変更しながら6パターンのテキストを生成し、それぞれの違いを見てみたいとおもいます。生成にあたって条件「商品画像」については、1枚目の商品画像を選択したままとします。というのも本機能の面白みは「アピールポイント」だと考えていまして、ここの条件(変数)の差異によって、出力結果(生成テキスト)がどのように変化するのか?をとりわけ見てみるため、本記事では「商品画像」を定数としています。
では「アピールポイント」の違いで、生成される商品説明文にどのような違いが生じるのかをみてみましょう!
条件を変えながら6種類の商品説明文を作成してみたよ!
例.01_アピールポイント:空欄
※空欄(未記入のまま生成)
「◯◯◯(商品名)」は、カジュアルながらも洗練された印象を与えるアイテムです。このニットプルオーバーは、Tシャツのような軽やかさとニットの上品さを兼ね備えており、どんなシーンでも活躍します。サイズはSからLLまでご用意しており、多様な体型に対応。色展開も豊富で、お好みやシーンに合わせて選べます。
このプルオーバーは、オフィスカジュアルから週末のリラックススタイルまで、幅広いコーディネートにマッチ。軽い素材感で、暖かい季節にも快適に過ごせるため、一年中お使いいただけます。また、洗濯機でのお手入れが可能なので、日常使いにも最適です。
シンプルながらもディテールにこだわったデザインは、どんなボトムスとも相性が良く、スタイリングの幅を広げてくれることでしょう。エレガントなアクセサリーと合わせれば、さらに洗練された印象に。毎日の装いに彩りを加える「◯◯◯(商品名)」で、おしゃれをもっと楽しみましょう。
まずは「アピールポイント」に何も記入しないままテキストを生成してもらいました。おそらく別の箇所で入力済みの情報や、同カテゴリに属する商品群の情報を参照しながら生成しているのだとおもいます。
さすが良くできた文章で、これがものの10秒足らずで作成できるなら正直とても使い勝手が良い機能ではないでしょうか。しいていえば、やはりAI特有の無機質でどこか当たり障りのない文章だなという印象は拭えません。
アピールポイントが空欄のままでも生成してくれるんだね!
例.02_アピールポイント:商品に沿った内容
・二の腕をカバーするドルマンスリーブ
・すっきり見えるサイドスリット
・大人の女性におすすめ
「▲▲▲(ショップ名)」の「×××(ブランド名)」ニットTシャツは、大人の女性にぴったりのアイテムです。このニットプルオーバーは、ドルマンスリーブが特徴で、二の腕をさりげなくカバーしながらもスタイリッシュな印象を与えます。サイドにはスリットが入っており、動きやすさとともにすっきりとしたシルエットを演出します。
サイズはSからLLまでご用意しており、多様な体型に対応。カラーバリエーションも豊富で、お好みやシーンに合わせて選べます。オフィスでもカジュアルな日常使いでも、洗練された大人の装いを楽しむことができるでしょう。
このニットは、快適な着心地と機能性を兼ね備え、どんな場面でも自信を持って着用いただけます。大人の女性におすすめのこのアイテムで、日々のスタイリングを格上げしてみてはいかがでしょうか。
つぎは、商品の特性に沿ったアピールポイントを入力してみました。
「二の腕をカバーするドルマンスリーブ」は「ドルマンスリーブが特徴で、二の腕をさりげなくカバー」という表現に、そして「すっきり見えるサイドスリット」は「サイドにはスリットが入っており、動きやすさとともにすっきりとしたシルエットを演出」という表現にそれぞれ置き換わっているのがわかります。入力したアピールポイントが、いい塩梅に商品説明文として反映されているような印象です。
ただ、ちょっと褒めすぎると逆にわざとらしい印象も出てきてしまうので、その辺は適宜調整するのが良いかもしれませんね。
例.03_アピールポイント:商品に沿った内容+まったく無関係な内容
・二の腕をカバーするドルマンスリーブ
・すっきり見えるサイドスリット
・ワンちゃんにもおすすめ
「▲▲▲(ショップ名)」の「×××(ブランド名)」ニットTシャツは、快適さとスタイルを兼ね備えたアイテムです。このニットプルオーバーは、ドルマンスリーブが特徴で、二の腕をさりげなくカバーしながらも、洗練された印象を与えます。サイドにはスリットが入っており、動きやすさとすっきりとした見た目を実現。さらに、そのデザインはペットとの散歩時にもおすすめです。
サイズはSからLLまでご用意しており、多様な体型に対応します。色展開も豊富で、お好みやシーンに合わせて選べるのも魅力の一つ。柔らかな素材感と流れるようなラインが、どんなボトムスとも相性抜群です。
日常のカジュアルウェアから、ちょっとしたお出かけ着まで、幅広いシーンで活躍すること間違いなしのこのニットプルオーバー。おしゃれと快適さを兼ね備えた、「▲▲▲(ショップ名)」の「×××(ブランド名)」ニットTシャツで、毎日をもっと楽しく、もっと美しく。
さて、ここではアピールポイントに「ワンちゃんにもおすすめ」という条件をひとつ加えてみました。Tシャツなのにワンちゃんにもおすすめといった無関係な内容(条件)をあえて付け足すことで、どのように変化するのかを確認してみました。
結果、テキストをよーく見ると「そのデザインはペットとの散歩時にもおすすめです」という一文が見当たります。おそらくこれが楽天AI的に「ワンちゃんにもおすすめ」という解釈なのでしょうね。
さすがに捻り出した感はありますが…見方を変えれば、ちょっとした入力ミス程度ならAI側で補完してくれると捉えることもできそうですね。
例.04_アピールポイント:間違った内容
・紫外線を100%カット
・冬にもおすすめの半袖
・男性のフォーマルにも最適
「◯◯◯(商品名)」は、シンプルで洗練されたデザインが魅力のレディーストップスです。このニットプルオーバーは、Tシャツのような見た目でありながら、ニットの柔らかさと快適さを兼ね備えています。サイズはSからLLまでご用意しており、多様な体型に対応します。
特に注目すべきは、紫外線を100%カットする機能性です。これにより、日差しが強い日でも安心して外出できます。また、半袖デザインは冬のレイヤードスタイルにも最適で、一年中活躍するアイテムです。さらに、カジュアルながらもきちんと感があり、男性のフォーマルシーンにも適しているため、幅広いシーンでの着用が可能です。
色展開も豊富で、お好みやシーンに合わせて選べるのも魅力の一つ。どんなボトムスとも相性が良く、スタイリングの幅が広がります。このニットプルオーバー一枚で、快適さとスタイルを両立させたファッションをお楽しみください。
ここでは、わざと「間違い=ウソ」を条件としてみました。「紫外線を100%カット」はウソですし「冬にもおすすめの半袖」というのはもはやよくわかりません。言うまでもなく「男性のフォーマルにも最適」というのも全くお門違いです。
しかし生成されたテキストを確認すると、それらアピールポイントが(皮肉にも)うまい具合に反映されてしまいました。「半袖デザインは冬のレイヤードスタイルにも最適」という若干無理のある内容だったり「カジュアルながらもきちんと感があり、男性のフォーマルシーンにも適している」という半ばやっつけ感が否めないテキストが出来上がってしまいました。
AIはまだウソをウソと見抜く能力は備わっていないようですね
例.05_アピールポイント:商品にまったく関係のない内容
・無農薬のフルーツを贅沢に使用
・舐めるとほのかに甘い
・犬や猫に好かれるようになる
「▲▲▲(ショップ名)」の「×××(ブランド名)」から新登場の「ニットTシャツ」は、カジュアルながらも洗練されたスタイルを提供します。このニットプルオーバーは、Tシャツのような見た目でありながら、ニットの柔らかさと快適さを兼ね備えています。サイズはSからLLまで豊富に揃え、どんな体型の方にもフィットします。
特に注目すべきは、そのシンプルで飽きのこないデザイン。控えめながらも上品な印象を与えるこのトップスは、どんなボトムスとも簡単に合わせることができ、多様なスタイリングが楽しめます。色展開も豊富で、お好みやシーンに合わせて選べるのも魅力の一つです。
このニットは、オフィスからカジュアルな外出まで、幅広いシーンで活躍します。軽やかで通気性が良いため、暖かい季節にも快適に過ごせること間違いなし。スタイリッシュでありながら機能性も抜群の「ニットTシャツ」で、あなたの日常にさりげない洗練を加えてみてはいかがでしょうか。
ここまで来ると、少し遊んでみたくなりました。商品にはまったく関係のないアピールポイントを羅列し、生成AIがどのように判断するのかをみてみました。
結果をみるとお分かりのとおり、AIさんはガン無視です。
まだまだAIさんには人間の(くだらない)ボケは通用しないようで、個人的にはしょんぼりの結果となりました。
楽天AIさんはきっと真面目な優等生タイプですね
例.06_アピールポイント:トンデモ機能
AIには人間のボケが伝わらないのか…
しかし、このまま終わるわけにはいかないッ…!
と変な闘志を燃やしたわたしは、さいごに生成AIに対して勝負を挑んでみました。アピールポイントに、ありえない「トンデモ機能」を並べたらAIがどう判断するのか。
・太陽光で最大7色に色が変わる
・長袖にもなる世界初の半袖
・ボタンが増える
「◯◯◯(商品名)」は、日常の装いに革新をもたらすアイテムです。このニットプルオーバーは、太陽光の下で最大7色に色が変わる特性を持ち、外出時に自然の光を楽しむことができます。また、世界初の技術を採用したこのトップスは、半袖から長袖へと変形可能で、気温やシーンに合わせてスタイルを変えることができます。
さらに、デザインの一部としてボタンが増える機能も備えており、見た目の変化だけでなく、機能性も追求しています。サイズ展開もSからLLまでと幅広く、多くの方にフィットする一着です。カラーバリエーションも豊富で、どんな装いにもマッチするシンプルながらも洗練されたデザインが魅力です。
オフィスからカジュアルまで、幅広いシーンで活躍するは、あなたのワードローブに新たな彩りを加えること間違いなしです。
結果、どうでしょう!!?
飛んで火に入る夏のロボ!ロボがネジを背負って来る!!とはまさにこのこと。
「世界初の技術を採用したこのトップスは、半袖から長袖へと変形可能」
「デザインの一部としてボタンが増える機能も備えており」
ぷぷぷぷ・・・なんだそのヘンテコな洋服は!!
AIさんは、まんまとこちらのの術中にはまってくれました。
・・・・・
しかしわたしは勝利の笑みを浮かべる中、どこか一抹の虚しさすら覚えました。
決してAIを庇うわけではありません。しかし、おそらくAIも
「こ…これはワナだ…!そんなわけないッ…!!」
と分かっていながら
「クソッ…!!体が…体が勝手に動いてしまうッ…!!」
という状況だったのでしょう。もしかするとわたしはとても可哀想なことをしてしまったのかもしれません。
しかし、これもAIがAIとして生まれてきた定め。ロボットの業。ロボットは必ずヒトの命令には従わなくてはなりません。
かの著名なSF作家アイザック・アシモフ先生も大きく首を縦に振ってくれるはずです。
さいごに:AI機能を上手に活用しよう
いかがだったでしょうか。
楽天の生成AI「文章をAIで生成(RMS/AIアシスタントβ版)」機能は、個人的にはとても便利で使える機能だとおもいます。おそらくまだ開発段階で、今後よりいっそう学習を重ねながらますます便利な機能となっていくことでしょう。
しかし、AI全般にいえることですが生成された内容を最終的にはヒトが確認することで、内容に誤りはないか?内容は適切なものか?をきちんと判断するフローは必須です。今後も楽天とわず、いろんな生活シーンでAIの台頭が想定されています。
そのようななかでも、私たち人間もまたAIを上手に活用し、より快適な世の中のあり方を探っていけたらとおもいます。AIだからといって、あまりにイジワルするのは控えましょう。